各国語版の表紙
英語版の表紙を見ていると、日本語版とはまた違った感覚の表紙が目立ちます。ライトノベルでは、キャラクターを描いた日本語版の表紙がそのまま使われているものも少なくないのですが、それ以外の本では、実に自由なデザインが多く見られます。昔の英訳本では、日本趣味的な表紙が多かったのですが、最近の本では、むしろそうしたいかにも日本的なイメージは影をひそめています。さらに英語以外の本に目を向けると、もっとバラエティに富んだ表紙のデザインを見ることができます。ここでは、多くの言語に翻訳されている村上春樹の作品を例に挙げて、各国語版の表紙を比較してみました。
スプートニクの恋人
『スプートニクの恋人』の日本語版は、単行本・文庫本ともに旧ソ連のスプートニク衛星の絵を使っており、あまりひねりはありません。ところが、外国語版を見ると、思いも付かないようなデザインに驚かされます。特に目を引くのはイタリア語版で、日本人画家・古賀春江の代表作「窓外の化粧」の一部分を使っています。また、英語版を出しているVintage BooksのReprint版の表紙は、人物の顔のアップを使ったものが多く、ほかの村上春樹作品の表紙を見ても、どれもちょっと変った雰囲気を持っています。ドイツ語版がおしゃれなのも意外(?)な感じがします。ポーランド語版は、すみれが主人公に電話をかけてくる電話ボックスをイメージしたものでしょうか。
単行本 | 文庫本 | 英語版ハードカバー | 英語版ペーパーバック |
英語版ペーパーバック | ドイツ語版ハードカバー | ドイツ語版ペーパーバック | ドイツ語版ペーパーバック |
フランス語版 | イタリア語版 | スペイン語版 | オランダ語版 |
ポーランド語版 |
『スプートニクの恋人』は、そのほかポルトガル語、ルーマニア語、リトアニア語、セルビア語、クロアチア語、ロシア語など、さまざまな言語で出版されています。各国語版を読み比べてみると、またいろいろな発見があることと思いますが、残念ながら私には英語が精一杯です。